小児歯科について

現在の子供の歯並びは数十年前と比較すると大きく異なる点があります。
1.食べるときに前歯を使うことが極端に少なくなったことで前歯が削られなくない、生えたときの形のままであること
2.すべての歯が肥大化していること
3.きれいな状態の歯並びが少なくなっており、不揃いのガタガタした歯並びの子供が多くなってきていること
では、子供の歯並び、顎の成長には何が関係してきているのでしょうか?

実はヒトは生まれた直後、おっぱいを飲み始めるときからすでに顎の成長は始まっています。
赤ちゃんはしっかりとした力でおっぱいを飲んでいるときには将来乳歯が生えてくる骨(顎堤(がくてい))は十分に成長し、上顎・下顎ともにU字型になります。歯が生えているいないにかかわらず、望ましい顎堤の状態はU字型です。
一方、おっぱいの吸い方が浅いと顎堤の成長は不十分になり、V字型になります。V字型になると下顎は十分に成長できず、後々歯並びにトラブルを起こすことが多いようです。

その後上下の乳中切歯が生え始めたころに(生後約8カ月)離乳が始まります。
このときに重要なことは、赤ちゃんに離乳食を食べさせるときの方法です。
「スプーンで一度に口の奥に入れてしまう」のではなく、「赤ちゃん自身が自分の上唇を使って食べ物を口の中に入れるような仕方」で食べさせることが大切です。こうすることで赤ちゃんは上唇の使い方を学び、正しい食べ方を習得するのです。

3歳ころまでに上下20本の乳歯が生え揃います。
「どうせ永久歯に生え変わるのだから」と乳歯はそれほど重要ではないと思われている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、この考えは改める必要があるといえます。
というのも、乳幼児の時に正しい歯の動かし方、咬み方ができていないと永久歯に生え変わっても乳歯の時と同じ間違った食べ方しかできないからです。
それでは乳歯の時に身に着けさせるべき正しい方法とはどのようなものでしょうか?
答えは
1.食べ物を口の中に入れるとき、まっすぐに下顎を前に出し、前歯で噛み切ること(捕食)
  この時、上下の唇は閉じた状態です。
2.左右に極端に偏って咬ませないこと。奥の大臼歯だけでなく、手前の小臼歯も使ってよく噛ませること(咀嚼)
3.一番奥の奥歯ばかり使わせないようにすること

乳歯の時に下顎を前に出し、前歯を使ってモノをかみ切ることができていないと、顎が成長不足となり、このことは永久歯の歯並びにも影響します。
これに加えて普段から(1)唇を閉じ(2)歯は接触させず(3)下を上顎の天井にくっつけるくせを付けさせることがとても重要なこととなります。